「癒し」においては、「医師よ、汝自身を癒せ」(ヒポクラテス)の教えが示すように、みずからを癒す者のみが他者を癒すことを可能にするのである。
— 佐藤学『学び その死と再生』太郎次郎社、1995年
大人1人対子どもたち。ずいぶん不公平な雪合戦が始まるなぁと思ったら。大人1人ではなかったんですね。彼女にはたくさんの味方がいました。「こけし」です。
もちろん雪だるまのつもりですが、誰かが「あの『こけし』をやっつけろ!」と言ったのをきっかけに、こけしになりました。こけしが増えれば増えるほど、子どもたちから飛んでくる雪玉は分散する、という仕組みです。忍術か。
こけしは格好の的になるほか、こけしそのものが、しばしば相手へ投げつけられます。こけしが倒されるたび心が痛むのですが、一方で、投げつけることに対しては誰も躊躇がありません。不思議ですね。
子どもたちとの遊びは全力であるべきです。全力とは、20代なら鬼ごっこに代表されるような汗だくな体力。
ただ、それ一本だけでは、この学童保育業界で長く働くことはできません。長く働くにつれ、年齢、性格、状況に応じた力(時に妖術)が求められます。その点で、このこけし雪合戦は「発明だ!」と思いました。
当然、子ども対子どもの遊びに発展します。もとい、こけしと子ども対こけしと子ども。
てんからとんころのこけし雪合戦を聞きつけて、早速、ひのてんでもこけし雪合戦。当社の持ち味は、横のつながり。そしてノリと勢い。いいと思ったら、すぐやります。
そして、ひのてんスタッフは、すぐに作戦とか立てたがるので、ホワイトボードで入念な打ち合わせ。本気です。
やりたいことを子どもたちから吸い上げるのは大事な技術ですが、大人がひらめいたこと、面白がっていること、放っておいてもやっちゃうことを保育の軸に据えると、案外うまくいくかも知れません。